眼と耳で読む師匠シリーズ

【眼と耳で読む】 師事 【師匠シリーズ】

 

※ウニさんの作品はPixiv及び「怖い話まとめブログ」さまより、
Youtubeの動画は彼岸さんのUPされている136さんの朗読をお借りしています。
耳で捉えた物語を目で文章を追うことで、さらにイメージは大きく膨らんでいくのではないでしょうか。
 
 


 


 
 

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「師事」

 
僕がド田舎から某中規模都市の大学に入学した時、とりあえず入ったサークルにとんでもない人がいた。

大学受験期にストレスからか、やたら金縛りにあってて、
色々怖い目にあったことから、オカルトへの興味が高まっていた時期で、
そんな話をしていると、ある先輩が「キミィ。いいよ」と乗ってきてくれた。

その先輩は院生で、仏教美術を専攻している人だった。

すっかり意気投合してしまい、見学に行ったその日の夜、ドライブに連れて行ってもらった。

夜食を食べに行こうと言って、えらい遠くのファミレスまで連れていかれた。

そこは郊外のガストで、なんでここなんですか?って表情をしてたら、
先輩曰く、「ここな、出るよ。俺のお気に入り」。

アワアワ…

ファミレス自体始めての田舎者の僕は、それでさえ緊張してるのに出るってアンタ。

「俺が合図したら俯けよ。足だけなら見えるはず」

そんなことを言われて飯が美味いはずがない。
もさもさ食ってると、急に耳鳴りが・・・
冷や汗が出始めて、手が止まると先輩が、

「オイ。俯けよ」

慌ててテーブルに目を落した。

しばらくじっとしてると、ていうか動けないでいると、
視線の右端、テーブルのすぐ脇を、白い足がすーっと通りすぎた。

いきなり肩を叩かれて我に返った。

「見たか?」

リングの公開前だったがのちに見ると、高山が街で女の足を見るシーンがこれにそっくりだった。

僕が頷くと、

「今のが、店員の足が一人分多いっていう、このガストの怪談の出所。
俺はまるまる見えるんだけどな。顔は見ない方が幸せだ」

なんなんだこの人。

「早く食べろ。俺嫌われてるから」

俺もわりに幽霊は見る方なんだが、こいつはとんでもない人だとこの時自覚した。

そのあと空港へ向う山道の謎の霧だとか、先輩お気に入りの山寺巡りなどに連れまわされて、朝方ようやく解放された。

以来、俺はその先輩を師匠と仰ぐことになった。

それは、師匠の謎の失踪まで続く。

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怖い話まとめブログ/師匠シリーズ「師事」より転載させていただきました。

 
 

『師匠シリーズ』作者、ウニさんについて

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2016年7月30日発売予定。予約受付中です!

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